FC2ブログ

権丈善一『ちょっと気になる社会保障』。

権丈著書

 私が信頼している少数のブログで、取り上げられる時には必ず好意的に紹介される権丈善一先生の本です。
 権丈先生の本は高いんですよね。
 今回も、ほぼ同時期にこの本とは別に2冊発売されたんですが、どちらも5千円近くするので、ちょっと手が出ません。

 もっとも、権丈先生の場合、御自身のHPでの発言やそのHPにUPされている「勿凝学問」を読むことで、考えを知ることはできます。
 ただ、その時々の社会の流れに応じて発表されるので、系統だったものではありませんでした。

 そうしたこれまでの権丈先生の考えをまとまった形で知ることができるのがこの『ちょっと気になる社会保障』です。
 しかも先生の著書としては税込2000円弱という破格の安さ。これはもう買うしかありません。

 内容は、これまで「勿凝学問」などで権丈先生が繰り返し述べてこられたことなので既に知っていることがほとんどでしたが、それがわかりやすくまとめられているというのが私にとっては一番のメリットでした。

 権丈先生の考えは奇をてらったところが無く、当たり前の話を積み上げて結論を導き出しているところに誠実さを感じます。
 この本の「おわりに」の中で、先生もメンバーだった『社会保障制度改革国民会議』の報告書の中の文章が紹介されています。

 年金制度や高齢者医療制度、介護保険制度を念頭に、「世代間の不公平」を指摘する意見がある。すなわち、「親の世代は、少ない負担で多額の給付がもらえたが、若い世代は負担に比べてもらえる給付が少ない」という世代間の損得論の主張である。
 しかし、年金制度や高齢者医療制度、介護保険制度は、子どもが老親を扶養するという指摘不要を社会化したものであることに十分留意が必要である。例えば、年金制度が十分に成熟する以前の世代は、親の私的扶養もしながら、自らの保険料を納めてきたのであり、公的年金の給付と負担だけをみて損得論を議論するのは不適切である。


 3世代同居の家に生まれ、今も3世代同居の家で暮らしている私には、きわめて妥当な考え方だと思われますが、こういうことを報告書で改めて強調しなければいけないほど、生活感を伴わない言説が溢れているということなんでしょうね。

 本文の中で特に詳しい説明が必要な点については、巻末に「知識補給」というコーナーを設け、「100年安心バカ」や「世銀と年金とワシントン・コンセンサス」といった13のコラムの形で補足説明がされています。これが理解を助けるうえで非常に役立っていると思うんですが、出来れば、本文に「知識補給」へジャンプするよう指示してある箇所に、該当コラムのあるページを併せて載せてあれば便利なのに、と思いました。

 最後に、重箱の隅をつつくようで気が引けるんですが、32ページに「省雪パイプ」とあるのは「消雪パイプ」の間違いでしょう。私のように毎年雪の降る地域に住んでいる人間には自明のことですが、福岡出身の権丈先生を始め、出版社の方も雪の降らない地域出身の方だったので校正の際に見過ごしたんだろうと思います。
 

にほんブログ村 その他日記ブログ 公務員日記へ
にほんブログ村
プロフィール

マンマーク

Author:マンマーク
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード